夏目友人帳「名前を返す」ことについての解説

ファンタジー

妖(あやかし)に名前を返すと、
妖は消えてしまうのでしょうか?

 

「名前を返す」ということについて、
夏目の儀式のやり方や返す時に流れ込む記憶についても
こちらで解説していきます。

 

名前を返しても妖(あやかし)は消えない

①名前を返しても妖は消えない!

名前を返すと妖は消えるというのは誤解です。

 

妖は消滅したり、成仏したりするわけではありません。
名前を返すと妖は「自由」になります。

 

アニメでは名前を返された妖が消えるように見えますが、
自由になって夏目たちの目の前から去っていくだけです。

 

②例外はあるの?

露神は例外だと言えます。

 

露神は、神ではなくこの祠(ほこら)に住み着いた妖で、
人々の信仰で姿が立派になったが、
今では体が縮んでしまったのです。

 

夏目の目の前で露神は光り出します。
露神を信仰した最後の人間であるハナさんが逝ったので、
露神も逝ってしまうのです。

 

ずーっと見ているだけだった人に、あの人に、これでやっと触れることができる気がするよ。ありがとう、夏目殿。昔も今も、人間とは可愛いものだねぇ。引用元:第1期2話

かつてハナさんが女学生だった頃、露神とハナさんが
話をするシーンが印象的です。

 

露神はずーっとハナさんのことを想い続けていたのですね。

 

だから、ハナさんがこの世からいなくなったら、
露神も一緒にいなくなったのです。

 

儀式の全ステップと「身体的代償」

妖怪へ名前を返すにはどうすればいいか?
斑(ニャンコ先生)は、夏目にやり方を教えます。

 

先ずは相手の姿をイメージする。開き、念じろ。
「我を守りしものよ、その名を示せ」
次に必要なのは、レイコの唾液と息。血縁のお前ならやれる。契約書を破って加え、両の手を強く打ち合わせ、集中し、ふっと息を吐く。
引用元:1期1話

 

①名前を返す儀式のステップ

相手の姿をイメージする

友人帳を開き、呪文を唱える
「我を守りしものよ、その名を示せ」

契約書(開かれた1枚)を破って口にくわえる

両手を強く打ち合わせ、集中し、ふっと息を吐く

名前が妖の元へ帰っていく

 

②儀式後の身体的代償

妖怪に名前を返すと、夏目は倒れ込むほどひどく疲れます。

 

精神を集中させることに加え、
エネルギーや霊力を相当使うからです。

 

自分の身を犠牲にしてまで、妖を自由にしてあげたい
と考える夏目の優しさ故なのでしょうね。

 

また、用心棒の斑(ニャンコ先生)がいてくれるという
安心感もあるのかもしれません。

 

なぜ「名前」が重要なのか?

①名前を知ることの意味とは?

古来、名前はその人の魂そのものと一体である
と考えられていました(言霊信仰)。

 

そのため、相手の名前を知ることは、
相手を支配下に置くことになるのです。

 

②レイコにとっての「名前」とは?

レイコにとって妖の名前を集めることは、
友達集めのようなものだったのかもしれません。

 

レイコは妖怪が見えるという霊力があったため、
周囲の人から気味悪がられていました。

 

孤独感、寂しさから妖と関りを持っていたようです。

 

妖に勝負を挑み、負けたら友人帳に名を連ねさせ、
自分の支配下に置いていきました。

 

ただし、レイコは単なる主従関係として妖を見ていただけでなく、
情を通わせていたのではないかとも思われます。

 

レイコが名前を呼んでくれるのを、長年待ち続けたが、
呼ばれなかったことを恨みに思って悪霊のようになった
妖怪もたくさんいました。

 

③夏目にとっての「名前」とは?

夏目にとっては、妖が本来の記憶と姿を取り戻すための
橋渡しをしてくれるものだと言えます。

 

レイコが妖に対してできなかったことを、
血縁者として「名前」を返すという行為をしていきます。

 

妖の本来の記憶と姿、レイコの記憶が
「名前」を返す時に夏目の中に流れ込んで来ます。

 

夏目は自由になった妖に感謝され、友達として
夏目と妖は新たな関係を結んでいきます。

 

夏目は妖に対して、子分ではなく友達として情を結び、
妖も夏目のことを友達と認めています。

 

レイコ同様、夏目も幼少期から妖が見えることで
孤独感を味わって来ました。

 

夏目にとっては、「名前」を返すことを通じて、
孤独感や寂しさが癒されているのです。

 

名前を返す時に夏目に流れ込んで来る「記憶」

妖に名前を返す時、レイコの記憶と、
妖の記憶と本来の姿が夏目に流れ込んできます。

 

①ひしがき

お供えの饅頭を横取りされ、怒るひしがきに
レイコは勝負を挑みます。

 

不意打ちを食らって負けたひしがきは、
レイコの頬のキズを心配して尋ねるのです。

 

レイコは言います。
「石をぶつけられたの。私は気味が悪いんですって。」

「この名前を呼んだら飛んできてね。」と。

 

ひしがき:「お前の名前は?」
レイコ:「レイコ」

 

ひしがきは、その時から来る日も来る日も
ずっとレイコが名前を呼んでくれるのを待ち続けます。

 

あまりにもながい年月の間待ち続けたが、
レイコは名前を呼んでくれませんでした。

 

ひしがきは恨み、悪霊のように変化してしまいます。

 

夏目がひしがきに名前を返すと、
ひしがきの記憶が夏目に流れ込んできます。

 

ひしがきが夏目を見て言います。
「レイコ、もういいのかい?もう、ひとりでも平気かい?」

 

ひしがきが、元の姿と記憶を取り戻し、
レイコを気遣って言葉を掛けるのです。

 

このシーンは、見ていて思わず泣きました。

 

②時雨

人間好きの招福の神様が
子供に化けて、村に遊びに来ていた。

 

ところが、強欲の商人が地下牢に閉じ込めてしまった。
商人は招福パワーで大儲け。

 

しかし、若神様は暗い地下で悲しんで悲しんで人を恨み、
やがて悪しき物の怪となってしまった。

 

商人の家はつぶれてしまい、
不吉となったこの場所にやがて校舎が建てられた。

 

若神様は忌まわしい妖となってしまったことを嘆いて
今もこの場所をさまよっている。

 

笹田が夏目に言い伝えを語ります。

 

「時雨様、名を返します。ひとりの女の子の心を支えた優しい者の名前です。」
時雨の記憶が流れ込んできます。

 

”ひとりの女の子の心を支えた優しい者の名前です。”
という夏目の表現は、何と素敵なんでしょう!
夏目の優しい心を現わす言葉ですね。

 

中学生の頃イベントでこの旧校舎に来た時、
笹田はお母さんの形見のお守りを
無くしてしまいました。

 

笹田が夜ひとりで探していた時、
時雨がそのお守りを見つけて来て
笹田に渡してくれました。

 

笹田は、一言お礼が言いたくて、
毎日旧校舎に通い続けたのでした。

 

笹田:「出てきて。お願い!」
時雨:「ああ、また来た。うるさいやつが。」

 

「お礼がが言いたいのどうしても。」
「たった一度、さっさと追い出したくて手伝ってやっただけなのに。
毎日、毎日。飽きもせず、何とけったいな生き物か。
不浄の私が触れたらばやはり汚してしまうだろうか?」

毎日やって来る笹田に対して、
うるさいと言いつつも、
時雨はだんだん情が移っていくのです。

 

「一度だけでいいから。」
「ああ、そうか。一度会ってしまったら、君はもう来なくなる。」

 

恨みから悪しき物の怪となってしまった時雨は、
笹田によって心が救われ、本来の姿に
立ち返ることができました。

 

時雨:「ありがとう、夏目。私は行くよ。
駄々をこねるのも疲れた。」

夏目:「時雨様、笹田は言っていました。
時雨様は不浄なんかじゃないって。救ってもらったんだって。
人の言葉なんて信じなくてもいいから、どうか笹田のことばだけは・・・」

 

時雨:「すまなかったな。人の子よ。
私を不浄だと恐れなかったのは、君とレイコだけだった。
ありがとう」

 

妖から若神様の姿に戻った時雨が、
笹田の頭に触れた時、笹田の眼に涙があふれました。

 

笹田には時雨が見え、頭に触れられたのを感じたことでしょう。
良かったねと、思わず心の中で言ってしまうシーンです。

 

まとめ

名前を返すと妖怪は消えてしまうのではなく、
自由になるのです。

 

その時、本来の姿と記憶を取り戻します。

 

祖母レイコの残した友人帳から、
夏目は妖たちに名前を返し、自由にしてあげます。

 

幼少期から味わって来た夏目の孤独感と寂しさは、
妖に名前を返す時に流れ込んで来る記憶によって
癒されて行くのです。

 

夏目の優しさが、夏目友人帳のモチーフとして流れていて
ずっと優しさに包まれているような印象を受けます。

 

1話ごとに涙を流してしまうようなシーンがあるので、
そんな優しさにぜひ出合って欲しいです。

 

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